かくれんぼの家

壁は、用途や環境を分断するための境界線である。

ここでは様々な広さを有した室が、それぞれ異なった高さの壁によって
構成されている。壁の高さは境界の力を表し、高くなるほど線上での行
き来が制限される。動線、視線、光、風などと順に遮られていき、その内
のプライベート性は高まってゆく。
しかし、この住宅では、壁が設定された天井まで到達すると屋根ごと室
の形にくり貫かれ、その部屋は外部化される。
高さを増す壁により徐々に遮られた光が真上から射し込み、部屋は外気
に満たされプライベート性の高い庭のような室が住宅内部に配置される。
この家の中の全ての部屋に表情を変えながら自然光が入り込み、1つの
大空間のように室どうしの空気は繋がっていて各部屋の雰囲気が別の部
屋へと漏れ出している。
どこの室にいても季節や共に暮らす家族の存在を感じることが出来る。

我々の生活の周りにある大切なもの、それらにやさしく包まれるような
感覚の家である。