花の路

津久井湖の蘭栽培業者が既存温室前を整備し小さなクラブハウスを計画する。

オーナーは以前より温室の一区画を定期貸し出しており、蘭愛好家達がアドバ
イスをもらい苦労しながら難しい花を自分たちの手で育てている。
又、温室前の畑も区画で貸し出していて、週末には家族連れで作業する人々で
賑わう。この様な人々の休息、交流の場となり、ここを拠点に活動する「蘭の会」
の行う年間行事にも利用出来る様な施設を要望している。

我々は、極力過剰な建築的要素を持たせず最小限の要素のみで構成し、周辺
を取り込みながら現地環境をダイレクトに体験出来る様な施設を提案した。
既存温室前の旧施設と同位置にクラブハウス機能を有する硝子ボックスと管理
部の2つのボックスによって構成され、その中心を外部より続く通路が貫通する。
この通路は、全体の軸心となっていて道路から温室出入口へと続いている。通路
の両脇に植えられた花はそのまま施設内部まで続き、建築内部に外部空間が引
き継がれていく。
施設内の通路は、内部でありながら外部的特徴を有し内外が一体化する。

透明な硝子ボックスの中では、木陰やパーゴラ、天井ルーバーにより偶発的な陽
だまりや日陰が生まれ、空間は様々な表情を見せる。季節や天候による周辺の移
ろいと共にゆっくりと変化していく空間は、人と植物がどちらも居やすい環境を作る。

ここを中心とし花への関心が広まり発信されていく様な施設である。