大きな海の小さな庭

ここには、現象や天候によって消滅と再生を繰り返す無数の
空間が混在している。

海岸に、それぞれが個別の大きさと深さを持ったくぼみを有す
るプレートが設置されている。くぼみはプレートを貫通しその下
の砂とつながるもの、プレートからはみ出して海や周辺の地面
と繋がるもの、皿やボウルのような形状をしたものなどがあり、
それぞれが、一枚のプレート上で海水や雨水、砂、生い茂る草
花を湛え個別の環境を形成している。

この海岸は干満の差が約2mあり、プレートの大半は、それに
よって水没と浮上を繰り返す。
そのたびに、無数のくぼみに発生している環境が、一変されてゆく。

渦潮・日差しによって暖められた・魚や漂流物を閉じ込めた小さ
な海の様なくぼみ、小さな砂浜や波打ち際の様なくぼみ、小さな
草原の様なくぼみ。
人々は、この様な小空間を選択あるいは、それらを渡り歩きなが
ら、浜辺での時を過ごす。


満潮と満潮の間の12時間、その一瞬一瞬にしか出会うことので
きない儚くも思い出深い空間との出会いの場である。