状態の家

ここは、生活や動線というような住宅内に発生する状態を表現した
空間である。住宅もしくは家という状態は、使用の疎密度と動きに
よって構成されている。

疎密度とは、空間内の人の滞在時間や使用頻度等の差のことで
ある。居間と納戸などには大きな粗密度の違いがあり、空間のボ
リュームや閉塞感がその様な差を作り出している。動線は、通路
と室の配置、そして前述したような疎密度間の移動によって
生まれる。

この様な家という状態を建築の原始的要素である柱のみにより
操作し表現する。柱は空間を作り出し、その大きさを決定する。
柱は空間内に感覚的境界線を引き空間を分割する。決定され
分割された空間は、そのボリュームごとに許容度を変化させる。
そこには空間の疎と密が生まれる。大きな空間は様々なものを
許容し、小さな空間は物理的なものを時として拒絶し、物理的空
間の行き来をせいげんし終結させる。
つまり、人の動きも制限され、動線が生まれる。この様な空間に
おいて人々の生活が展開され、壁のない半透明でむき出しの家
という状態が表現される。

実際は一繋がりの空間の中で4軒の「状態の家」が佇んでいる。