季節の寝床

その空間の中には、高さを一定とした様々な傾きの壁が混在し、空間内に幾つ
もの条件を同時に生み出している。

壁は傾くほど屋根を装い室の様な場を保有する。壁は貫かれ空間は外部と繋がる。
この空間は極めて受動的であり、許容的である。周辺環境に大きな影響を受け、
一繋がりの空間の中で個別の環境を持った小空間が季節と共に装いを変えて行く。
そんな個別な空間は、用途を限定させず様々な機能を常に寛大に受け止める。開け
放たれた開口から進入した周辺環境は、徐々にその質を変え収束し、そこから繰り出
した生活は周辺へと発散してゆく。庭の様な空間は緩やかに家の様な空間へと移行する。
それらの空間を選択し日々の生活を展開する。

人々は常に空間内を浮遊し自分の置場と今日の寝床を探している