風景が寄り添う家

この家は環境から身を守るといったような、原初的な住宅の堅固さと、軒下、
庭、縁側、窓といったような周辺環境によって機能が移行しうるような、華奢さ
をもった家である。

住宅における華奢さとは、外部環境を最大限に享受することができ、様々な変
化を許容するものである。その華奢な軒下、縁側、窓といった要素に内と外で
スケールの異なった厚みを持たせる。これにより華奢な要素が空間のように振
る舞い、空間の厚みが環境を緩やかに横断し、生活が外から内、内から外へと
移行していく。
華奢な空間が創りうる、おおらかさは様々な環境と距離感を保ちながらも共存し
あうことで、この家を風景の一部へと昇華させる。そのおおらかさは、季節、天候、
風、時間の変化を受け入れながら、食事をする、談笑する、読書をする、昼寝を
するといった生活の変化を受け入れる。

ささやかではあるが、そんな全てを受け入れることができる家である。